YES 雨ではない場所を 作者が思うと 子どもたちはいっせいに軒下から駆け出した 手をはためかせ ランドセルに追いつかれないように速度を上げながら 濡れた赤や黄色を淡くエコーさせた 誰の声でもなかった ただいのちが響きわたった ここでわたしは何をいいたかったのか 百字以内で記せ 鉛筆を転がしかけたが選択問題ではなかった いつからか いくら考えても答えのわからない空欄はすべて 肯定で埋めることにしていた YES それからあとは試験終了まで 窓の外を見つめて 雨ではない場所を思いつづけた