挙げられた手



風はない

はばたきかける影がそれぞれ落ちる誰もいない広場に満ちるひかりをこなごなにくだく

水はほそい手を傾けた飲み干された一日の終わりにかなしいことはもうなにもないのを確認した

たくさんのひとが帰っていくいま誰も帰らない部屋があって

扉を開けられない指先がない

短い言葉で温度は測定されたこなごなにくだけた日々がよく水にとかされた部屋に

風はなかった