原典:AA.VV. Poesia italiana: il Cinquecento. A cura di Giulio Ferroni. Milano: Garzanti, 1978, pp.56-59.
訳者名:原口昇平(連絡先
最終更新日:2016年4月17日  ※引用の際 典拠、訳者名、URL、最終更新日を必ず明記


Pietro Metastasio (1698-1782)
da Rime, 1719.


 
	Gli armonici principii, onde le liete
Celesti sfere, variando aspetti,
Impongono e di moto e di quiete
Arcane leggi ai sottoposti oggetti,
	Con si bell'arte, o Gasparini, avete	5
Voi ne' musici numeri ristretti,
Che in noi calmare ed eccitar sapete
Con soave vicenda i nostri affetti.
	Quando ai neri d'Averno antri discese,
Con arte tal l'innamorato Orfeo			10
Il duol, cred'io, dell'alme ree sospese.
	Con arte tal d'un crudo re poteo
L'ire sedar, quando la man distese
Su l'auree corde il pastorello ebreo.
ピエトロ・メタスタージオ (1698-1782) 




	ハルモニアの諸原理、それによって快い
諸天体は、さまざまに星位を変えながら、
動と静の秘密の掟を
支配の対象に課している、
	こうも見事なわざを用いて、おおガスパリーニよ、
あなたはその諸原理を音楽の数のなかに圧縮したのだ
だからあなたは甘美な展開をもってわれらのなかに
われらの情念をかきたてることも鎮めることもできる。
	それは、恋に焦がれたオルペウスが
冥府の暗い洞穴へ降りて、罪人の魂の苦痛を、
私の信ずるに、ひととき止めたのと同じわざだ。
	またイスラエルの牧童が黄金の弦に
手を伸ばし、むごい王の怒りを
鎮めることができた、そのわざに優るとも劣らない。  




訳者の注記
 1719年、当時著名であった作曲家フランチェスコ・ガスパリーニ Francesco Gasparini(1668-1727)を称えるためにローマで書かれたソネット。この詩は、ピタゴラス派からボエティウスを経由してルネサンス以降へ受け継がれた古い数理的・天文学的音楽観の要点を詩人が知っていたことを、明らかに示している。