失踪
 
 
手首をさすりながら
見つめている
火
滑走路のための

さむい旗をほどいたあとだ
すこし濡れているのに
誰もが
転がされた訃報のうえに座ろうとする

帰ってきた身体と
帰らないもののあいだで
叫びは失踪しつづける
また
雨で手を洗ってしまう

傘をさす
首は痛かっただろう
首は
痛かっただろう
恨みのように美しい菊の季節に
似合ううたなど
ない