い(ば)しょ     原口昇平



 
/ねこのようなのが
ぢべたにねむそうにくずれていた

かおはわからなかった
りょうてはぬれていた
かえってからというもの

ふろばのでんきのすいっちを
つけたりけしたり
していた


/だからむらでは
このいちねんのあいだに
きゅうじゅうろくにんがうまれて
ひゃくにんがしんだ

しずかなもので
ずっととおくのほうではなびがあがった
ばらばらとおとがした
ほんとうにしずかだ


/だからしーでぃーはよくひかる
たぶんこどもじだいには
めぐすりでもさして
ないたふりをしていたのだとおもう


/やーめた
そろそろたりないので
うみにいきたい
ですっ
あのことあのこを
うでまくりしてつれていくため
にひつような せんしゅ、
/せんせい!
ほんとうにかなしいことは
もうなにも ないの
で
あとはただ
ゆうぐれをながめ
て
だれかほかのひとの
て に
かきおえられるのをまつたけ
はウマイ
ですっ