声 原口昇平 もはや速度は ひりひりめくられてゆく肌と しつづける指先の飛沫のせいだ それらやわらかく倒してしまった コップ テーブルのうえで水はほそく ひとすじに八月として描かれる (つたってゆくひとひの息、) 腕をあげては またひとの息を真似るコップが さまざまに倒されつづける はしから順に 飛沫 順にやわらかい 呼吸を舌のうえで回すように 底へためていったのか はしから (また倒されていく、) 指先がつれてくるこの水をなんと呼ぼう このいっせいのほとばしり このテーブルへしたたり落ちる腕の積雲の一瞬の 足をひろげて目隠しされた花のナイフで裂かれた汗のとがって やわらかく順に毛の濡れた夏空のうつぶせにされた てのひらの