殺戮の時代(V) 原口昇平 窓に 部屋のない場所 時折顔ぶれが 青く終わっているだけの めずらしげに垂れる さむい夕涼みの声がする 骨のまるみを殺していった 球形の女の小鳥がする 青色の青空 青色の青信号 青色の青写真 つらなりの出土したさまざまに 途切れていく水がする 書きとめられる叫びのひとの 暮れるほほえみの口がする 窓に終わっている