日時計だけが聞こえていた      原口昇平




あなたに雪を投げるこども
忘れられた
 
「日は白に死ぬ」
離れた場所を呼ぼうとして
足跡の影をついばんでいる
きょうのあなたの老いた鳥たち
 
扉は開く
声は嗄れる
夏でなくとも
いつまでも高く
どこまでも揺れて
 
手を濡らして帰ってくるように
忘れられたこども
「アルミ缶のうえにある蜜柑」
誰も知らない
はしゃぐ
地球の、肯定の空の機械