尾上氏の作を読む際に、行間、ということ を思いながら分け入っていこうとしていまし た。五七五を基本として綴られたそれの…… 「私」のありかを探して−この行間にどのよ うに私がたたずむのか、素描してみたい、と。 全体は韻を踏まず断絶のある十四行ですが、 前作の十二行の余白を埋めた、ということで は、二十六行の作とも言えますでしょうか。 また六月というこの機会もこの文字のあわ いに浮かべなくてはと思い、さまざまに彫り 込もうとしました。 テキストには仕掛けがしてあります、前作 との「交接」がよりはっきりと浮かぶように。 すぐに見つかることでしょう。 この交接、また断絶が、どのようにのちの 走者に受けられるのか、楽しみです。 原口昇平