くぬぎ



            そういえば
            一万年前からの電話線が
            よわくなった手のほつれに通じていて


            太った風船のなかで
            まっくろい火はガリガリ燃えだす


            という
            かなしい牧場について
            話している妹の背中


            あす生まれるはずの魚が
            不安そうに首をかしげた


            かもしれなくて
            しばらく眠れない