〈問い/跳躍〉の先で、ぼくらはどこにいるのか 03/11/01 18:50-21:10 洛陽 さて、どこから話そうか 原口 いまぼくたちは、どこにいるのでしょうか。 洛陽 ぼくたちは いったいどこにいるのか というこ と、それを語り出すには、原口くんが何を視野に入れ て問い出しているのかを聞かないとね 原口 具体的に言えば、ひとつはぼくたちの出発点から どこまで歩いてきて……あるいは離れてきたのか、も うひとつは、ぼくたちが表現を取り巻く環境のなかで 相対的に、どのようなポジションにあるのか、という ことですね。 洛陽 なるほど。まずぼく個人で言うと最初のことにつ いては、まったくもって、変わった気がしないね。 原口 ぼくもそう思いますね。 洛陽 それは確かに、痙攣の創刊号が2002年の1月 14日に発行されたという事実があるのだけれども、 ぼくにとってそれは出発点でもなんでもなかったんだ。 どうにも人は順番でモノをみる癖があるのだけれども、 ぼくはそういうことには無頓着だったりもするわけだ。 原口 流れていたもののその一瞬を、痙攣という両手で すくってみせただけということでしょうか。それとも、 ぼくたちがどこを歩いていようが体と意識はいつもこ こにあるように、ぼくたちはずっとここにいるし、か つてもいたのだ、ということでしょうか。 洛陽 うん 後者の言い方はぼくの思いに近いものかも しれない。 原口 なるほど、ぼくもです。 洛陽 そして痙攣をはじめたということは、そのときに そういう形、在り方がぼくにとって或る必然だったと いうことに過ぎないんだな。 原口 或るとき、何らかの契機によって、受肉したわけ ですね。その契機とはなんであったかを、今では明か す必要も感じません(それに、それを書きつけたあと はいつももどかしさが伴うものです)が、ともかくぼ くたちは創刊号以来疾走し、そしていまここにひとつ の終わりを迎えるわけです。 洛陽 うん。そしてぼくは今回ひとつに終焉を迎えるに あたって、さほどの衝撃をも受けていないわけだ。ぼ くにとってはそれが必然、もしくは自然であるからね。 原口 無念の思いを隠しているわけでもなく、感傷的に 振り返るわけでもなく、ただ終わりであることだけを この手につかんでいるわけですね。 洛陽 うん。そう。そしてぼくは原口くんに問うてみた いのだけれども、振り返って見たときに、いったいぼ くらは何をやってきたのか、ということは考えるべき なんだろうか。 原口 考えてみる面白さはあるでしょうね。けれど、す べきなのかどうか。しなければならないのかどうか。 洛陽 そうなんだよね。考えてみる面白さはある。そし てそれをすることは、もしかしたらおよそ「痙攣」的 ではないのかもしれないね(笑) 原口 そうですね。 洛陽 でもまあ、せっかくこうして話し始めたのに、考 えてみないと言うのでは話が終わってしまうか(笑) 原口 対外的な、関係にからめとられるような話になる のではないですか。でなければ、ぼくたちがぼくたち において何をやってきたのかを考えることはいいでし ょうね。 洛陽 例えばさ、ぼくがいまついうっかり書いてしまっ た「痙攣的」という言葉なんだけど、そんなものはな いんだよね。 原口 なるほど、面白いですね。 洛陽 これを発起人自ら口にするってのは、「痙攣」と いう集団そのものがもともと崩壊を孕んでいるってこ となんだけどね。 原口 痙攣は「〜的」と言われるようななにものでもな い、ということですよね。 そうですね。これまでも、ずっと微妙なバランスで 続いていましたね。 洛陽 そう振り返って見て思うのは、やはり「よく続い たなあ」と、つくづく だね。 原口 どういうつながりが、ぼくらを貫いていたのでし ょうか。 洛陽 原口くんはどういうことだとおもってる? 原口 ぼくたちに運動体としての身体を手に入れさせた のは、なんだったのか。 さあ、正直に言えば、はっきりと言葉にできるほど にはわかりません。 洛陽 うん。本当によくわからないんだ。たぶんこのわ からなさが今回の終焉を生むことになったのかもしれ ないと思ってる。 原口 苛立ちか、何かに焦がれた思いか、わけもわから ず走り出してしまうときのあのtensionを、それぞれ が違ったかたちで持っていただろうな、とは思います が……走り抜けた後にはそれらは別の姿へと変わって いるので、つかみとれませんね。 はっきりしているのは、ぼくたちはひとつの、答え のない問いであり、であった、であろう、ということ でしょう。今回終焉を迎えることになったのは、それ だけのものが、問い終えられたということなのでしょ うか。 洛陽 うん。なるほどね。 まあひとつ直接的な原因としては、各同人の個人的 な事情によって長い停滞期に入ってしまったというこ ともあるよね。 原口 そうですね。各人のそれらから、ぼくたちのあい だに働いていた微妙な力がずれて、そこから少しずつ ばらばらに離散していった。というか、立ち止まって しまった。 洛陽 そう、そしてどんなに停滞しようとも、同人の間 でのズレが伴わなかったら、終焉を迎えることもなか ったとも思う。 原口 そうですね。 次頁