抱いている手



深々と晴れ上がった空にひとひらたどりついて、波紋

見上げていただけなのに沈んでいく広げた腕の揺れはじめた一面に水彩の暖色をこぼした

街路樹は歩いていけないことを知っている根の

もうのびていけないことも知っているここは狭いからわかたれたはずの枝もひともぎちぎちと寄り添いあってまだ

さむくないまださむくない目を閉じずにもう少しだけだから

ぼやけた青と白の領域を抱えたまま精確に敷かれた座標のなかへ十月の日時計ははだけていった