カーテン (ぬれたような) 夕色に とかされた 肩の かすかな緩みを ほどけないように 静かに結ぶことだ 聞こえないのは 空 泡のようにして ゆっくり浮いているから その円さを ゆびで撫でてみたりもする 赤信号のなかに たたずむ人の輪郭をなぞる 鎖骨の近くにほくろがある もう判らないけれど くだらない雑誌が 路上 どこからかこぼれたようにして まぶたは 見えなくなるためにあるものだから 秒針が縫ったものに 水紋をつくってしまい また 指先から とけていくしびれ (つなぎとめるための言葉)