盲いた手



たどりつくまでに

ひとつのねじれもみせずにホームの先端からこぼれた秋の日は車内放送にわかりやすく咀嚼され食道を焼いて沈んだ

胃袋にはまだ空きが抱かれている

手のひらから散り落ちる紅葉は金色夜叉の一頁をひらめかせておそろしく光るのねと口走った女の影をつかんで放さない手のひらから

見えなくなるくらい確かな速度で

通過したいくつもの駅のそれぞれにふたたびすべりこむ始発電車を待つようにさむけを青く抱きしめて走り出した群集から剥離していく網膜片の影、影、影、影、影、影、影、影、影、影、影、影、