無人の愛
 
 
 
てのひらに
しずく あつめて
 
無き ひびき
古い都市を
洗いながら書物に閉じこめる男
 
押し花が
のどもとで
叫びのように
 
殺されているのか
千に割れた陽が
いつまでも
海面をただよい
その眼差しも
絶えることなく
 
かなしくはない
二人は
たったひとつの水の歌をうたうために
何千枚もの
存在しない地図をひろげ
燃やしたのだ
と