無人の愛 てのひらに しずく あつめて 無き ひびき 古い都市を 洗いながら書物に閉じこめる男 押し花が のどもとで 叫びのように 殺されているのか 千に割れた陽が いつまでも 海面をただよい その眼差しも 絶えることなく かなしくはない 二人は たったひとつの水の歌をうたうために 何千枚もの 存在しない地図をひろげ 燃やしたのだ と