新しい雨 裸に濡れた 夜のあとを尾けて 電車が一日をひいていく 止められた音の雨 窓の顔に 閉じられる光がある すべて映し出された 事故のために 停車中に乗ってきたこどもの 手はつながれていなかった 呼吸の終わりを 抱いたことは あるのか 何を渡せばいい ポケットに さよならがもうない ほんとうにかなしいのは 胸の厚い老人 雨の日に差されない傘 路上に枯れていく 青と黄と赤と黒の 花びら それから ジーンズの裾が濡れていた そこから海も 遠くはなかった