エコー


脚を挫いた 鳥が着水しようとしている 
 山脈のような
 二三年後のような
 砂に記された落ち葉のような 嚠喨たる噴水の頂上に
  紛う それが恋人ではなかったか
      一坏の岩の粉砕ではなかったかを

居住区からはるかに離れ 沼の在る朝のことだ
シダの黄金が垂れて蛙が生えた 
蒼天には穴があった
 向こうから風が吹き抜いてくる そういう胸中を抱えている
 
溜息をついた
 溜息をついた


陽の重量が覆った
 高圧線 それに風車を追い駆けるリスや
 凍った金木犀の目頭を 
爪を研ぐ少女 縁側で また屹立する家の端をすりぬけていこうとする葉群

サンダルを拾いあげる掌に穴があいた

献上してくれ 銀杏の実を
 空を画する二本の腕が
何処にも向かわず ただ延ばされた箸のように
遠慮深い緑の禿頭をして 喉を鳴らす秋の男 エコー 散る葉の陰に

それからもう一度
 水の上に反射をしない羽毛が蒔かれたのだ

  羽毛が蒔かれたのだ