ささくれ立つ、視神経、の、   ななひと

群生している 視神経 の 野原 を、ひとり で 歩く [骨のように 白い、雪 が] 記憶 の 断片 を つなぎあわせ [花 が、咲く] ひと の かたち を つくる [礫死体 の ような 人影] それは あやまち の ような おびえ の 表情 を して [次々と こぼれ落ちる 細胞] 膜 を 張り ながら [蜘蛛の巣のような世界!] うずくまる 懺悔者 たち を 殺していく [春 の ような 風景] 尻尾のように 長い 手 を 持つ 刈り取り夫 [生え代わる 爪] 彼らは ゆっくりと つばさ の ような 動き を 見せる [剥がれ落ちる 皮膚] 視床下部 の 残像 を 感光版 に 写し取って [花 の 構造模型] 世界 を 平面として とらえる [皺 の 寄った 生殖生物] そこから 小さな 芽 が 一面に広がって [冷えていく 空] まるまる 子供達 の 頭 を 包んでゆく [人形が、かたりと] 抽象化 された 人体 が 模式図 を 描く [微分 されていく 人間 と 環境] 大脳図 は 荒野 の ように 目の前 に 拡がって [淡色化する、手が] 拒む [包む] 指紋 を 転写 していく [もう時は、既に] 神経 の ような 筆跡 が 花 を つけ [寓話 のような 話形] 吹きさらし の 大脳平面 で 揺れ動く [血痕 の ような 肖像画] それらはいっせいに 重なり と なって、わたし の 現在 を 今 も 脅かす。